【日油 尼崎工場】設備を可視化し、位置情報を起点に。 3D保全業務の次世代スタンダードへ

日油株式会社
住所
東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号
Web
https://www.nof.co.jp/
設立
1949年7月1日
事業
油脂技術を基盤に「バイオから宇宙まで」の幅広い分野で高機能素材や製品を開発・製造する化学メーカー

天然油脂を原料とする油脂化学と石油化学技術を融合し、日常生活から先端産業までを支える高機能素材を生み出してきた日油株式会社。その中核拠点である尼崎工場では、シャンプーやボディーソープ、化粧品などのトイレタリー製品向け原料をはじめ、電子材料、医療・医薬分野向けの高機能素材など、幅広い製品を製造しており、人々の生活と産業の両面を支える重要な役割を担っている。

 現在、尼崎工場では、「デジタルデータの活用」、「現場作業の負荷軽減」、「技術・技能の伝承」を掲げ、生産性高く、かつ安全で働きやすいスマートファクトリーの実現を目指し、DX推進を強化している。今回は、インテグナンスVRを活用し、位置情報を起点とした新たな業務フローの構築に挑む、日油尼崎工場 技術部技術グループの次世代を担う社員の皆さまにお話を伺った。

現場負荷の増大と図面管理——インテグナンスVR導入の背景

尼崎工場の技術部技術グループでは、メンテナンスおよびエンジニアリングの視点から、機器、配管、土建、計装・電気といった生産設備の横断的な保全に加え、老朽化や増産に伴う設備導入、省人化・DXの推進までを一体的に担い、設備全体の安定稼働と継続的な生産性向上を支えている。

現在、尼崎工場では、経年劣化による設備の老朽化が進んでおり、設備の更新や保全業務の件数が年々増加、それに伴い現場作業の負荷も高まっているという。また現場作業に欠かせない機器図やP&IDといった図面も、長年稼働しているプラントでは、紙で保存されているケースも多く、また最新化されていないケースもあり、正しく、安全に現場業務を行う上でも、誰もが理解し易い、認識齟齬の生まれないデジタルデータを蓄積できる情報基盤の活用が急務となっているという。

またさらに労働生産性を高めるためには、情報への即時アクセス性も重要な課題となっており、多忙なベテラン社員をつかまえての情報確認や、社内に点在する保全履歴情報の探索にも大幅な改善が必要であり、その課題解決のソリューションとして、白羽の矢が立ったのがインテグナンスVRだと川幅氏は話す。

日油株式会社 技術部 技術グループ 川幅 康平氏

測長・空間シミュレーション機能による大幅な作業軽減

 現場作業において、P&IDは必要不可欠な情報であるが、プラントによっては最新化されていないケースもあり、その都度、現場へ赴いての確認が発生していた。現場作業員にとって、猛暑時や雨天時、さらには高所での確認作業は、精神的・肉体的に大きな負担となるが、インテグナンスVRを活用することで、従来2〜3回ほど必要だった設備更新時の現場スケッチも、現在では1回で概ね完結できるようになったという。
 
 また、新たな設備の導入計画時には、現場での計測作業や配置検討に多くの時間を要していたが、インテグナンスVRの「空間シミュレーション機能」を活用することで、機器の配置検討をVR上で行えるほか、ポンプ更新時、揚程計算を行う際、ポンプの能力がどれくらい必要か、周辺の配管の長さを計測する際、インテグナンスVRの「測長機能」を活用することで、道路を横断している配管ラック等も安全に計測でき、今まで半日かかっていた作業が、約1~2時間にまで短縮され、業務効率が向上したという。

日油株式会社 技術部 技術グループ 萱嶋 千紘氏

「正確な位置情報」がリードする新たな保全業務フロー

尼崎工場では、製造部門から保全部門への補修依頼に、インテグナンスVRのマーカー機能を活用している。従来は、製造と保全がともに現場へ出向き、補修箇所を確認したうえで、現場スケッチを行い、その後、詳細情報を整理した上で、協力会社へ見積もりを依頼していたが、インテグナンスVRのマーカー機能により、補修箇所をピンポイントでチーム内に共有できる他、VR画面を付加した帳票出力機能により、協力会社への見積もり依頼も簡素化されたという。今後は、補修箇所に対して、マーカーの色分け機能を活用し、製造側への進捗報告や残作業の可視化にも展開していく方針だ。

  VR活用はこれにとどまらない。工事前の準備においても、どの箇所から液を抜き、どのように洗浄し、作業を進めるかといった手順を、インテグナンスVRを見ながら事前にすり合わせができるようになったという。これによりチーム内で、事前に正確な作業工程を共有できることで、認識のズレが解消され、安全かつ円滑に工事の準備を進められるようになったという。

 また、配管更新時には、未着手となっている保温工事箇所にマーカーを付与するほか、早期対応が難しい補修箇所に対しては「工事検討」や「定修検討」といったステータスを付加したマーカーを付与することで、保全計画に向けたタスク管理にも活用しており、今後、尼崎工場で、どんなユースケースが新たに生まれていくのか、楽しみだ。

日油株式会社 技術部 技術グループ 脇坂 佳孝氏

インテグナンスVRへの今後の期待

最後に、今後のブラウンリバースへの期待について、川幅氏より、お話を伺った。

インテグナンスVRの最大の強みは、普段我々が目にしている現場そのものをVRで表現している点にあり、現場作業に携わる者にとって、非常に分かりやすい。プラントでは、設備管理や保全管理、DCSなど、さまざまなシステムを活用しながら日々の安定稼働を支えているが、インテグナンスVRとこれらのシステムが容易連携できることで、情報の一元管理が実現できることを大いに期待したいとお話をいただいた。今後も、日油尼崎工場の位置情報を起点とした新たな業務フローの構築に注目していきたい。

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